そもそも、何故竹細工をしているのか?(その18)〜「無ければ作る」が始まった話編〜

そもそも、何故竹細工をしているのか?シリーズ

〜「無ければ作る」が始まった話編〜

結婚した秋、人生で一番うれしかった出来事がありました。
そう、妻のお腹に新しい命がやってきたのです。

産婦人科の診察中、私は近くの本屋で時間つぶし。
「どうだったかなぁ…」と落ち着かず待っていると、妻が本屋に入ってきた瞬間――

両手を頭の上にあげて、でっかい“OKマーク”。

もう、あの瞬間は忘れられません。
本屋なのに、心の中では紙吹雪が舞っていました。


当時は、竹原での講師生活4年目。
独身時代は小さな家で十分でしたが、この年からは夫婦二人の新婚生活です。

そこで頼りになるのが、毎度おなじみ中坊さん。

中坊さん夫妻と

「新婚が住める、いい家をお願いします!」

すると、本当に築浅の素敵な二階建てを見つけてきてくれたのです。
しかも、知り合い価格。ありがたや…。


とはいえ、暮らしは超・質素。

家賃、食費、光熱費、ガソリン代、電話代――
全部合わせても月10万円ほど。

なぜなら、それ以外のお金は全部ログハウス建築費に消えていくからです。

でも、不思議と「貧しい」と思ったことは一度もありませんでした。


ちなみに、その頃の私のお小遣い。

月3000円。

煙草も吸わない。喫茶店にも行かない。
唯一の贅沢は「囲碁講座」の本を買うことくらい。

むしろ余る。

そんなある日、職場の女性事務員さんに聞いてみました。

「旦那さんのお小遣いって、どれくらい?」

すると返ってきた答えが、

「うちは少ないんよ〜、1000円」

私は内心ガッツポーズ。

「勝った!うちより少ない家があった!」

…ところが。

よく聞くと、

“1日1000円”。

桁じゃなく、単位が違っていました。
完全敗北です。


さらにある日。
妻がホームセンターで電話機を買ってきました。

親機+コードレス子機付き。
当時としては最新型。

お値段、39,800円。

ところが数日後、妻がしくしく泣いている。

「どうした!?」

と聞くと、

「どうして、あんな無駄遣いをしてしまったんだろう…」

と、本気で落ち込んでいるのです。

その姿を見て、

“電話機ひとつで妻を泣かせてしまう自分の経済力…”

ちょっと切なくなりました。


そして春。

妻は出産準備のため別府の実家へ。
私はというと――

「子どもが生まれるのに、風呂が無いのはマズい!」

と、慌てて風呂づくり開始です。

もちろん、ただの風呂では終わりません。

せっかくなら“岩風呂”だ!

別府の霊園近くに石屋さんがあり、墓石を切り出した端材が山のように積んでありました。

通るたびに、

「この石、いい感じだな」

と拾って帰る。

そしてコツコツ壁に貼る。

完全に“セルフ岩風呂建設”。

温泉ではないけれど、給湯器のお湯をためれば立派なお風呂です。

このブロックの所に岩を張り付けていくのです。

この手作り岩風呂、なんと6年間活躍。

しかし最後は家族会議で敗北し、システムバスへ交代となりました。

岩風呂、引退。


トイレも慌てて据え付け!

振り返れば、あの頃は足りないものだらけでした。

お金も無い。
設備も無い。
便利さも無い。

でも――

「無ければ、自分で作ればいい」

そんな考え方が、あの頃から自然と身についていった気がします。

どうやら私は、竹細工だけではなく、
人生そのものも“手作り”していたようです。

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