マイコンピューター

工房

誰もがスマホを持ち歩き、何でもデジタル化される便利な時代になりました。

検索も買い物も支払いもスマホ一つ。最近ではAIに質問すれば、文章まで書いてくれます。

そんな世の中ですが、意外と昔の尺度で動いている世界も残っています。

私の仕事である竹細工も、そのひとつです。

竹細工の世界では、今でも長さの単位は尺貫法が現役です。

尺貫法というのは、日本古来の単位系で、

  • 1分(ぶ)=約3mm
  • 1寸(すん)=約3cm
  • 1尺(しゃく)=約30cm

という具合です。

竹の太さも「5寸竹」「6寸竹」と呼びます。

これは竹の直径ではなく、立っている竹を地面から120cmほどの高さで測った円周の長さです。

ところが不思議なもので、

尺貫法の「1寸=約3cm」

円周率の「π=約3」

という、なんとも都合の良い関係のおかげで、

5寸竹なら直径はだいたい5cm、

6寸竹なら直径はだいたい6cm。

昔の人は、なかなか上手いこと考えたものです。

竹の長さも、「2尺の竹」「3尺2寸の竹」と呼びますし、竹細工でよく使う籐も「8厘」「1分」などで表します。

1分なら約3mm、8厘なら約2.4mm。

こんな世界にいると、何もかもがアナログです。

しかし、私の工房には最新鋭のコンピューターがあります。

これです。

丸い竹を溝の中に差し込むと、竹の太さによって途中で止まります。

すると、溝の上には「8ミリ幅のヒゴが何本取れるか」が表示されていて、溝の下を見ると「6ミリ幅・5ミリ幅 何本取れるか」が一目で分かります。

電源不要。

充電不要。

アップデート不要。

故障もほとんどありません。

しかも計算速度は抜群です。

AIを使う時代ですが、

この「マイコンピューター」は、たぶんAIより速いです。

……少なくとも、「竹から何本ヒゴが取れるか」という限定的な用途においては。(笑)

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