〜いきなり先生になりました〜
試験場の場長から、まさかの一言。
「広島県竹原市で、竹工芸の講師やってみないか?」
……いやいや、ちょっと待ってください。
ついこの前まで、教わる側だったんですが(笑)
この竹原の職業訓練校・竹工芸課、今はもうありませんが、当時はちょっと面白い背景で作られていました。
定年が55歳〜60歳くらいの時代。
寿命が延びてきて、「定年後の時間、どう過ごす?」という社会的なテーマが出てきた頃です。
そこで登場したのが――
「生きがい対策」
その一環として、高齢者向けの職業訓練が行われていたのです。
竹原のコースもまさにそれ。
・定員25名
・対象年齢 55歳以上65歳未満
・期間は10月から翌年3月までの半年間
つまり、人生の先輩方に竹細工を教えるという、なかなか緊張感のあるポジションです。
正直、不安でした。
「学校出たばかりの自分に、できるのか?」
と場長に聞いたところ、返ってきたのは意外な答え。
「難しい技術を教えるわけじゃない。
初めての人に教えるんだから、今の君で十分。
それより大事なのは――人間関係だよ」
なるほど。
技術よりも、25人の人生の先輩とどう向き合うか。
……これはこれで、なかなかハードルが高い(笑)
人間関係づくりが特別得意なわけではありませんが、
「まあ、やるしかないか」と納得。

そしてもう一つ、正直なところで言うと――
お給料。
これも大きかったです。
訓練校を出たばかりの竹細工職人なんて、収入は……まあ、控えめに言っても“心もとない”。
技術も経験もこれからですから、すぐに食べていけるほど甘くはありません。
さらに竹細工の仕事は、
春・夏は忙しいけど、秋・冬はちょっと静か。
つまり――
ちょうどその“静かな時期”に、講師の仕事が入る。
これはもう、タイミングが良すぎる話です。
というわけで、
気づけば「若手職人」から「先生」へ。
そして10月。
いよいよ広島県竹原市での講師生活がスタートしました。
さて、人生の大先輩25人を前にして、果たしてうまくやれるのか?
教えるつもりが、逆に教わることになるのか?
このあたり、なかなか一筋縄ではいきません。
続きは次回です。


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