~京都伊勢丹から、まさかのドイツ行き!?~
工房総出で挑んだ、京都伊勢丹での初めての実演販売。
たった2か月で作品をかき集め、なんとか売り場を完成させました。


期間は1週間。
弟子たちも頑張ってくれたし、売り場もなかなか良い感じ。
……なのですが。
終わってみると、
「うーん、思ったより売れなかったなぁ」
というのが正直な感想でした。
そりゃそうです。
今回は突然決まった催事。
DMも出していない。
広告も無し。
たまたま通りかかったお客様に見てもらっただけなのです。
「やっぱり難しいなぁ…」
と、少々しょんぼりしていたら、マネージャーの本間さんがやってきて、
「高江さん、凄いですよ!」
「今までの催事の中でもトップクラスです!」
と、まさかの高評価。
さらに続けて、
「来年の春、桜の時期にもぜひお願いします!」
京都伊勢丹にとって、桜シーズンは一年で最大級の勝負時。
そこに呼んでもらえるなんて、本当にありがたい話でした。
そこで私は、一つだけお願いをしました。
「今年は急だったので仕方なかったのですが、来年は広告に少しでも載せてもらえませんか?」
やはり、興味のある人に来てもらえるかどうかは大きい。
“たまたま通りかかった人”だけではなく、
「竹工芸を見たい」
というお客様に来てもらえたら、もっと面白いはずだと思ったのです。
そして迎えた翌春――。
これが、大当たり。
広告効果もあり、たくさんのお客様が来場。
予想以上の結果になりました。
そこから約10年間、毎年京都伊勢丹で催事を開くことになるのです。
さらに話は広がっていきます。
京都伊勢丹をきっかけに、新宿伊勢丹本店へ。
すると今度は、全国のデパートのバイヤーたちが、
「何か面白いものはないか?」
と、実演会場をうろうろ(笑)
催事担当者、ギャラリーオーナー、企画会社――
次々と声が掛かるようになりました。
ここから工房の方向性も、大きく変わっていきます。
それまで売上の95%は問屋さん経由。
でもこの頃から、
「自分で売る」
という比率がどんどん増えていったのです。
これは本当に大きかった。
問屋さん相手だと、
「これは売れない」
と言われた試作品は終わりです。
でも、自分の展示会なら違う。
「面白い!」
と思えば、自分で売れる。
だから弟子たちにも、
「どんどん新しいことをやれ!」
と言えるようになりました。
ただし、私は一つだけ決めていました。
“声が掛かった所に全部出ない”
こと。
自分たちは工場ではありません。
全部手作りです。
だから、
- 関東なら伊勢丹本店、日本橋三越、横浜高島屋
- 中部なら松坂屋本店
- 関西なら京都伊勢丹と阪急
というように、“地域一番店”に絞って展開していったのです。
売れるからと無限に広げるのではなく、
「適正規模、適正利潤」
これを大事にしていました。
そんなある日。
京都伊勢丹で実演していると、ひときわ目を輝かせた大きな外国人女性が近づいてきました。
ドイツ人の女性です。
日本文化や工芸品が大好きだそうで、熱心に作品を見ています。
そして突然、
「ドイツに来ませんか?」
……え???
当時は翻訳アプリなんてありません。
こちらも半信半疑。
「はいはい、社交辞令かな?」
くらいに思っていました。
すると後日――
英語のFAXが届いたのです。
翻訳してもらうと、
なんとその女性、
ドイツの「シーボルト博物館」の理事。
つまり、
「ドイツに来ませんか?」
は、本気だったのです。
人生、どこで何が繋がるかわかりません(笑)


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