ブトの襲撃

もんく

~横浜にはいない幸せ~

横浜から出張を終えて帰ってきました。

車から降りた、その瞬間です。

「お帰りなさい!」

…と言わんばかりに、何匹ものブトが私の目の周りをブンブン飛び回ってきました。

いやいや、そんな歓迎はいりません。

実にうっとうしい連中です。

横浜では毎朝ウォーキングをしていました。

最初は朝6時にホテルを出発していたのですが、8月の横浜を甘く見てはいけません。

歩き始めは気持ち良くても、すぐに太陽が本気を出し始めます。

気温はグングン上昇。

ホテルへ戻る頃には、汗びっしょり。

テレビでは「不要不急の外出は控えてください」と言っていますが、「その通りでした」と素直に反省しました。

翌日からは作戦変更。

朝5時にホテルを出発し、まだ街が眠っているうちに歩き始め、6時半にはホテルへ帰還。

これが大正解でした。

涼しいし、人も少ない。

そして何より…

ブトが一匹もいない!

これだけでも横浜に住みたくなります(笑)。

「ブトって何?」

そう思われる方もいるでしょう。

地方によっては「ブユ」や「ブヨ」と呼ばれる、小さな吸血昆虫です。

見た目は小さくても、その実力は横綱級。

蚊のように針を刺すのではなく、皮膚をガブリとかじって血を吸います。

その場では「何ともないな」と油断していると、数時間後には猛烈なかゆみと腫れ。

ひどい時には一週間以上、「あの時の一噛み」を思い出させてくれます。

しかも、このブト。

私の目の周りを人工衛星のようにグルグル回り続けます。

「いつ着陸しようかな。」

そんな相談でもしているのでしょうか。

手で払っても、ひらり。

叩こうとしても、すいっ。

小さいくせに運動神経だけはオリンピック級です。

この時期の草刈りとなれば、もう完全武装。

長袖、長ズボン、首にはタオル。

さらに網付き帽子まで装備します。

これなら完璧!

…と思うのですが、相手はその網の隙間を見つける天才です。

「そこから入るか!」

というルートで侵入し、狙うのは決まって目の周り。

もう執念としか思えません。

だから今回の横浜出張で一番幸せだったことは、高島屋でも、中華街でも、夜の一杯でもありません。

朝、気持ちよく歩いても、誰にも血を狙われないこと。

こんなに平和な朝があるのかと、しみじみ感じた一週間でした。

帰ってきた途端に現実へ逆戻り。

今日もブトたちは、私のことを「歩く朝食」と思っているようです。

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