竹の調達について(3)〜製竹・油抜き編(準備だけで一仕事)〜

竹工芸

竹の調達について(3)〜製竹・油抜き編(準備だけで一仕事)〜

前回は、竹を伐採して運び出すところまで。
今回はその続き、「製竹」、中でも“油抜き”のお話です。

竹藪に生えている竹、あの青々とした色。
緑というか青というか、なんとも言えないきれいな色をしていますよね。

私たちはこの状態の竹を「青竹」と呼びます。
このまま使って作った籠などは「青竹物」。これはこれで味があります。

……が、私たち職人が使う竹は、ここからひと手間。

**「油抜き」**という工程を加えます。

名前だけ聞くと、料理みたいですが(笑)、これがとても大事な作業。
方法は大きく分けて「火抜き」と「湯抜き」の2種類。

個人で少量やるなら火抜きでも良いのですが、職人仕事となると話は別。
量をこなす必要がありますから、効率の良い「湯抜き」が主役になります。

……さて、「じゃあやるか」と簡単に始められれば良いのですが、現実はそう甘くありません。

まずは竹藪探しから。

そして、その地主さん探し。
さらに、「切らせてください」とお願いに行くところからスタートです。

山の中とはいえ、勝手に切るわけにはいきませんからね。

でも不思議なもので、きちんと誠意をもってお願いに行くと、

「どうぞどうぞ、むしろ綺麗になるから助かります」

と言ってくださる方がほとんどです。

ちなみに私のところでは、竹代としてお金はお支払いしていません。
その代わり、整備に入るときにお菓子やビールを手土産に持っていったり、出来上がった竹籠をプレゼントしたり。

いわば、“竹のご縁返し”です。

さて、ここからが本格的な準備。

まず必要なのは――運搬手段。
切り出した竹を運ぶためのトラックです。

幸い、私は家庭菜園用に軽トラックを持っていたので、これが大活躍。
まさか野菜より竹を積むことになるとは、軽トラも思っていなかったでしょう。

次に必要なのが、油抜きのための「窯」。

最初は、ガス給湯器のタンクを流用しようと考えました。
「安く済むし、これでいいか」と。

……が、甘かった。

鉄板が薄く、業務用にはとても耐えられないと判断。
結局、しっかりしたものを作ることにしました。

6ミリの鉄板を使い、
・短い竹用(2メートル)
・長い竹用(4.5メートル)

この2種類の窯を、なんと“オーダーメイド”。

しかも、厚紙で模型を作って鉄工所に依頼。
だんだん話が大きくなってきます(笑)

そして、窯ができたら終わり……ではありません。

次は、その窯を据え付ける「竈(かまど)」作り。

短い方は束石を積んで比較的スムーズに完成。
問題は、長い方。

何しろ窯だけで約250キロ。
「よいしょ」ではどうにもなりません。

まず斜面を整地し、コンクリートで基礎を作るところからスタート。
さらに煙突代わりにU字溝を連結。

そして最後は――ショベルカー登場。

人力ではなく、ついに機械の力を借りて、吊り上げて据え付けました。
ここまでくると、もはや小さな土木工事です。

仕上げに屋根を付けて、ようやく窯の完成。

……まだ終わりません。

次は、油抜きした竹を干す「干場」作り。

短い竹用には、なんと約250本の杭を打ち込み。
長い竹用には斜面を活かして干場を設置。

ここまでくると、「竹細工」というより「開拓作業」です。

こうして、ようやく“油抜きができる環境”が整いました。

準備だけで、すでにひと仕事。いや、ふた仕事くらい終わった気分です(笑)

さて次回はいよいよ本番、
竹が見違えるように変わる「油抜き」の工程に入ります。

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