竹の調達について(1)〜竹はあるのに竹がない!?〜

大分県といえば、真竹の生育地として日本一の規模。県内をドライブすれば、右を見ても左を見ても竹林、竹、竹、また竹。「これだけあれば一生困らないだろう」と思うほどです。
……ところがどっこい。
私が竹細工を始めた約40年前、別府市内には数軒の「竹屋」さんがありました。どの店にも竹はたっぷり在庫があって、「どれにしようかな」と選べる贅沢な時代。竹に困る、なんてことは一度もありませんでした。
それが時代の流れというものは恐ろしく、一軒減り、また一軒減り……気がつけば最後の一軒に。
しかも今では、「注文して半年待ちです」「大きいのは一年待ちですね」と、まるで高級家具のような扱いに。
いやいや、ここ日本一の産地ですよね?
山を見ればいくらでも生えてますよね?
なのに「竹がない」とは、これいかに。
この不思議な現象の一番の原因は、「切り子」さんの減少です。切り子さんとは、竹林に入り、竹を伐って、担いで、道まで運び出してくれる、いわば竹の縁の下の力持ち。
この仕事が、まあ大変。
竹の切り時は昔から「木六竹八塀十郎」と言われ、旧暦で竹は8月頃(今でいう9月〜10月)が良いとされています。この時期に伐ると、丈夫で長持ちする良い竹になるそうです。
……とはいえ、最近はちょっと事情が違います。
私の体感では、「9月?まだ夏ですよ、それ」。暑い、暑すぎる。というわけで、私のところでは11月にずらしています。時代とともに“竹の気分”も変わっているのかもしれません。
昔は、農家の方が稲刈りを終えたあと、「よし、ひと仕事」と竹を切り出してくれていました。いわば地域ぐるみの竹供給システム。需要もあれば人手もあった、いい時代です。
ところが今は、塗り壁の家も減り、竹の需要も変化。そして何より、切り子さんの高齢化。
若い人に「竹藪に入って、重たい竹を切って担いで運んでください。蚊もいます、ヘビも出ます。ちなみにお給料は…」なんて話をしたら、だいたい途中で帰られます。
無理もありません。
汗だく、虫だらけ、危険あり、そして低賃金。しかも季節限定。これはなかなかの“ハードモード”です。
その結果、今の竹屋さんは一年中仕事を回すため、伐採時期にあまりこだわらず竹を出すようになっています。これもまた、時代の流れ。
そんなこんなで、「竹はそこら中にあるのに、使える竹が手に入らない」という、ちょっと笑えないけどどこか可笑しい状況になってしまいました。
竹細工師にとって、材料が手に入らないというのはなかなか深刻な問題ですが……まあ、ぼやいてばかりもいられません。
さて、次はどうやってこの竹を確保するか。
知恵と工夫の出番です。



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