区長になって2年目。
1年目は、何もかもが初めてのことばかりで、「区長って、こんなにいろんな仕事があるのか!」と戸惑う毎日でした。
ところが2年目になると、昨年の経験があります。
「なるほど、そろそろこの行事が来るな」
「次はこれをやって、その次はあれだな」
と、だんだん先が読めるようになってきます。
……が、しかし。
先が読めることと、心配事が減ることは別問題でした。
先日は、地区の公民館掃除の日。
私の住んでいる地区は、三つの小集落に分かれていて、それぞれに小組合長を選出します。各家庭への連絡や、地区の作業などを、それぞれの小組合で担当します。
公民館の掃除も、3回に分けて、それぞれの小組合が受け持つ仕組みです。
そこで昨年の地区の集まりの時に、私はかなり念を押して伝えました。
「公民館横の斜面の草刈りは、草刈り機が届く範囲まで!」
なぜなら、その斜面、国道に面していて、かなりの急傾斜。
とてもじゃないけれど、そこに人がへばりついて草刈り機を振り回すような場所ではありません。
足を滑らせたら……。
考えるだけでゾッとします。
ところが、昔からの慣例というものは、なかなか手強い。
地元のお爺さんたちは、
「草が残っていると気になる」
のです。
小組合長が、
「斜面には上らないでください!」
と言っても、
「大丈夫、大丈夫」
と、どんどん斜面へ……。
いやいや、大丈夫じゃないから言ってるんですって!
そして今年、ついに私たちの小組合が公民館掃除の当番になりました。
私は、
「みんな段々年を取ってきているんだから、事故になったら大変です。斜面の草刈りはやらないでください!」
と、再びお願いしました。
ところが返ってきた言葉が、
「他の地区が綺麗に刈っているのに、俺たちだけ刈らないわけにはいかん」
……。
出ました。
「俺たちだけ」という、地域の謎のプライド。藍
お気持ちは、ものすごく分かります。
昔からそうやって地域を守ってきた皆さんです。
「自分たちのところは、自分たちできれいにする」
その気持ちは本当にありがたい。
でもですね……。
皆さん、もう70歳を超えております。
しかも、今回の相手は普通の草むらではありません。
70度以上はあろうかという急斜面。

そこにへばりついて草刈り機を使うなんて、もはや草刈りというより、ちょっとしたアトラクションです。

そこで今回は、腰にロープを掛け、上から引き上げながら作業するという、かなり本格的な安全対策を取ることになりました。
写真を見ると、まるで何かの山岳救助隊の訓練のようです。
「公民館の草刈りに、そこまでしますか?」
という感じですが、

します。
なぜなら、区長の胃が痛くなるからです。
草はまた伸びます。
多少刈り残しても、来年また刈ればいい。
でも、転んでしまったら取り返しがつきません。
来年は、三つの小組合すべてに、
「斜面の草刈りはしない!」
と、もっと徹底して伝えたいと思います。
「昨年も言いましたよね」
ではなく、
「今年は絶対にやらないでください!」
くらいの勢いで。
区長2年目。
仕事の流れもだんだん分かってきて、少しは楽になるかと思っていましたが……。
区長の仕事は、草が伸びるたびに心労も伸びるようです。
地域を綺麗にしてくださる皆さんには感謝、感謝。
でも、お願いです。
草より先に、皆さんの安全を刈り取らないでください!
……いや、刈り取るのは草だけでお願いします。


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