夏のロード 2026(その4)~名古屋編~

出張

今飯田先生

広島をあとにして、新幹線で名古屋へ。

今回、まず最初に向かったのは、高校時代の恩師・今飯田先生のお宅でした。
二年前お亡くなりになり、今回はお参りをさせていただくためです。

……とは言っても。

実は私、先生に担任をしてもらったこともなければ、授業を受けたことすら無いのです(笑)

なのに、なぜか卒業後50年もの間、ずっと可愛がっていただいた、不思議でありがたい先生でした。

今飯田先生は、一言でいうと――
「リアル金八先生」。

しかも、武田鉄矢さんをさらに自由人にした感じ(笑)

たしか生物の先生だったはずなのですが、授業を受けていないので確証がない。
ただ、白衣を着て自転車に乗り、校内を“颯爽”というより“ふらふら”移動していた姿だけは鮮明に覚えています。

当時の先生は、私たちより10歳ほど年上。
「先生」というより、“学校にいる面白い兄貴”みたいな存在でした。

生徒たちは遠慮なく先生の家へ遊びに行き、気づけば合宿所状態。
かなり型破りな先生だったのは間違いありません。

……もっとも、私は高校時代ほとんど接点が無かったのですが(笑)

ところが数十年後。

私が竹細工の実演販売で全国のデパートを回っていた頃、名古屋松坂屋の売場に、ひょっこり現れたのです。

「おぉ、お前やっとるなぁ!」

向こうは完全に私を覚えている。

こちらも、“有名な変わり者の先生”として顔は知っている。

今飯田先生の最大の特技は、とにかく記憶力。

いや、“特技”レベルではない。
もはや特殊能力です。

教師生活40年。
教え子だけでも1000人以上いるはずなのに、名前どころか、家族構成や現在の仕事まで全部覚えている。

一度、本気で先生の頭の中を見てみたいと思いました(笑)

それ以来、私が松坂屋に出店するたびに先生は顔を出してくれるようになりました。

そして、ある日。

「今度、お前のところ遊びに行くわ。」

私は軽く、
「はいはい、いつでもどうぞ~」
くらいのつもりで返事したのです。

ところが翌月。

本当に来た。

名古屋から飛行機に乗って、
二泊三日で、
大分の我が家に。

しかも、かなり普通に(笑)

妻もびっくりです。

ここで、皆さんに大事なお知らせがあります。

【名古屋の人が“遊びに行くわ”と言った場合、それは社交辞令ではありません。】

本当に来ます。
かなりの確率で来ます。
しかも突然来ます(笑)

今飯田先生だけではありません。
その後も何人もの名古屋人が我が家にやって来ました。

恐るべし名古屋文化。

別府温泉や地獄めぐりをご案内し、三日間たっぷり楽しんでいただきました。
先生はどこへ行っても、完全にマイペース。

先生が帰られたあと、妻が聞きました。

「で、何年生の時の担任の先生なの?」

「いや、担任でもないし、授業も受けてない。」

「……え???」

そりゃ驚きますよね(笑)

でも、それから十数年。

私が松坂屋へ出店すると、先生は必ず顔を出してくれました。

時には私の実演スペースに座り込み、
まるで売場スタッフのようにお客様へ私の説明をしてくれることも。

晩年、体調を崩されてからも、補助車を押しながら来てくださいました。

本当に、あの関係は何だったのでしょう。

授業も受けていない、
受け持ったこともない、
しかも高校時代は、どちらかといえば不良学生(笑)

そんな私を、なぜあれほど長く、深く気にかけてくださったのか。

今となっては分かりません。

でも、ただひとつ言えるのは――

人生には、理屈を超えたご縁がある。

そして私は、そのご縁に何度も助けられてきたのだと思います。

感謝しかありません。

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