竹の調達について(6)〜保管と、あの小さな天敵〜
油抜きを終え、しっかり干し上げた竹たち。
ようやく一息……と言いたいところですが、まだ仕事は続きます。
次は「保管」。
長竹は長竹用の棚へ。
短い竹は長さごとにきちんと揃えて、それぞれの棚へ。

ここまで来て、やっと“材料としてのスタートライン”に立った感じです。

さて、ここで思い出してほしいのが、(1)でお話しした「木六竹八」のことわざ。
実はこれ、単なる昔の知恵ではなく――
めちゃくちゃ現役の重要ルールです。
なぜかというと、切る時期を間違えるとどうなるか。
……はい、虫が入ります。しかも、びっくりするくらい。
その代表格が、
「チビタケナガシンクイムシ」
体長わずか2〜3ミリ。
見た目は小さくて可愛げ……と言いたいところですが、とんでもない。
これがまた、実に“いやらしい”虫なのです。
何が厄介かというと、
表面を食べない。
つまり、見た目はきれいなまま。
「お、いい竹だな」と思って割ってみると――
中はスカスカ。
しかも、身の部分をしっかり食い荒らしているので、加工中に
ポキッ。
……はい、折れます。
そして、タイミングが悪いと怪我をします。
小さいくせに、なかなかの破壊力です。
ひどいものになると、「これ本当に竹?」と思うくらい中身を食べ尽くしています。

本当に困った存在です。


では、なぜ切る時期が悪いと虫が入るのか?
これはあくまで私の経験と聞いた話ですが――
竹にはちゃんと“体調の波”があるようなのです。
春、4月頃にタケノコが出て、夏にかけて一気に成長。
この間、地下茎を通じて親竹がせっせと養分を送り続けます。
いわば、「子育て全力モード」。
そして子竹を育て終えた親竹はどうなるか。
……燃え尽きます。
養分を出し切って、いわば“ヘトヘト状態”。
この時期の竹は、虫にとっては「おいしくない竹」になるのではないか、と考えています。
ちょうど10月頃がそのタイミング。
ところが、12月に入ると少しずつ回復。
年が明けるころには、次のタケノコに向けて養分をどんどん蓄え始めます。
実際、この時期に竹を切ると、切り口から水がポタポタと染み出してきます。
「ああ、元気になってきたな」という感じです。
そしてまた春、タケノコへ――
このサイクルを繰り返しているように見えます。
実際に竹在庫を見てみると、この違いははっきり出ます。
良い時期に切った竹には、ほとんど虫が入りません。
一方、悪い時期に切った竹はというと――
入るものは徹底的に入る。
ただし不思議なことに、同じ時期に切っても「入らない竹」もあるのです。
これがまた謎。
土壌の違いなのか、竹の個体差なのか。
このあたりは、まだまだ研究の余地ありです。
さて、ここまでで――
竹の伐採から、油抜き、そして保管まで。
ようやく一通りの流れが揃いました。
長かったようで、まだ準備段階。
次回からはいよいよ、
この竹たちが形になっていく「竹細工」の工程に入っていきます。
ここからが本番です。


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