今年初めて食べるスイカは、なんと12キロもある大玉スイカでした。
しかも名前が凄い。
「金色羅皇(こんじきらおう)」
まるで時代劇に出てくる皇帝の称号のような名前です。
立派なラベルが貼られています。

調べてみると、奈良県の種苗メーカーが開発した希少な黄肉スイカで、「幻のスイカ」とも呼ばれているそうです。
平均糖度は15度。条件が良ければ20度を超えることもあるとか。
外見は普通の縞模様のスイカですが、包丁を入れると中から現れるのは鮮やかな黄金色の果肉。
なるほど、「金色羅皇」の名は伊達ではありません。
ところで、なぜ我が家にこんな高級スイカがやって来たのか。
話は竹林へと遡ります。
現在、私は竹細工の材料となる竹を切り出し、油抜きをして干し上げ、原材料を準備しています。
しかし、良い竹を確保するのは簡単ではありません。
放置された竹林は、倒れた枯れ竹や密集した竹で荒れ放題。
まずは竹林を整備し、風通しを良くしながら、竹細工に適した樹齢3年から6~7年ほどの竹を探します。
一つの竹林だけでは一年分をまかなえないため、現在は5~6か所の竹林を使わせてもらっています。
市内で良さそうな竹藪を見つけると、
「おっ!」
と中へ入り、竹の太さや伸び具合を確認。
さらに、切った竹をトラックで運び出せるかどうかも重要なポイントです。
整備された竹林は、数年すると筍がポンポン出てくるようになり、まるで竹林が息を吹き返したようになります。
そんな竹林探しを続ける中、昨年の冬、理想的な竹林を発見しました。
竹は太く真っ直ぐ。
トラックは横付け可能。
しかも以前に誰かが整備したのか、枯れ竹まで片付いている。
「ここは当たりだ!」
地主さんを探して許可をいただき、今年の春には息子と友人の三人で整備作業まで済ませました。
秋の切り出しが今から楽しみだ。
そう思っていた矢先のことです。
工房に見知らぬ男性が訪ねてきました。
「県内で竹を切り出している〇〇です。」
なぜか表情は少し曇っています。
話を聞くと、その竹林を以前から整備していた業者さんだったのです。
持ち主さんから、
「別の方も入っていますよ」
と聞き、挨拶に来られたとのこと。
「あ~~~~、竹林がバッティングしてしまった!」
しばらく話し合いをしましたが、後から整備に入ったのは私たちです。
今回は手を引くことにしました。
その代わり、別の竹林を紹介してくださることになったのです。
数日後。
私が留守の時、その方が大きなスイカを抱えて工房へ来られたそうです。
それが今回の主役、
金色羅皇。
帰宅後、お礼の電話をすると、
「気持ちよく引いてくれたので、そのお礼です。これからもよろしくお願いします。」
と言ってくださいました。
どうやら悪い印象は持たれなかったようです。
むしろ、竹林の情報をたくさん持っている方と知り合えたことは、将来のことを考えると大きな財産かもしれません。
竹を譲ったら、スイカが来た。
しかも幻のスイカ。
世の中、損得だけではありませんね。
人とのご縁は、ときどき糖度15度超えで返ってくるようです。
感謝を込めて、工房のスタッフや弟子たちと一緒に、美味しい「金色羅皇」をいただきました。


甘かったのはスイカだけではなく、人の心遣いも同じだったようです。


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