そろそろ竹の季節です。ところで、竹を煮るにも「薪」がいる

工房

暑かった夏もようやく終わり、朝晩は少しずつ涼しくなってきました。

「やっと秋らしくなってきたなぁ」と思っていたら、竹を扱う者にとっては、のんびりしている暇はありません。

もう10月です。竹の切り出しの季節がやってきます。

私のところでは、毎年10月、11月に、翌年一年間使う竹を切り出します。

切り出した竹は、そのまま使えるわけではありません。

油抜きをして、しっかり干し上げて、ようやく来年の仕事に使える竹になります。

つまり、来年使う竹を、今年の秋から仕込んでおく。

竹細工というのは、どうも気の長い仕事です。

「明日の仕事の材料を、明日用意する」

というわけにはいきません(笑)。

なぜ、この時期に竹を切るのか?

「どうして10月、11月なの?」

と思われる方もいると思います。

これについては、以前、

「竹の調達について(1)~竹はあるのに竹がない!」

で詳しく書いていますので、興味のある方はそちらもご覧ください。

簡単に言えば、この時期に切った竹は虫が入りにくく、竹細工に使う材料として、とても具合がいい。

そして何より、自分で竹林に入り、

「これはいい竹だな」

「これはちょっと太すぎるな」

などと選びながら、来年使う竹を確保できる。

竹細工をやっている者にとっては、ここからが一年の仕事の始まりなのです。

竹を煮るには、薪がいる

さて、竹を切り出した後には「油抜き」という作業が待っています。

油抜きについて簡単に言えば、竹を加熱して油分や水分を抜き、竹の色や耐久性を整えていく作業です。

ところが、この作業。

竹を煮るために、大きな窯で大量のお湯を沸かさなければなりません。

当然ですが、お湯を沸かすには火がいる。

火を焚くには、薪がいる。

竹を仕事にするには竹だけあればいいと思ったら、大間違いです。

竹を煮るための「焚物」まで必要になります(笑)。

そこで私のところでは、製材所から材木を製材したときに出る端材を購入して、焚物にしています。

この製材所では、この端材の束を「バラマキ」と呼んでいます。

写真が、その「バラマキ」です。

一見すると、

「薪というより、木材の山じゃないか」

と思われるかもしれません。

はい、その通りです(笑)。

かなり豪快な量です。

ところで、この「バラマキ」、いくらでしょう?

この大きな束、一束のお値段は……

配達してもらうと4,000円。

ところが、自分のトラックで取りに行けば、

2,000円。

おお、半額!

「これは自分で取りに行くしかない!」

……と、一瞬思います。

ところが、よく考えてみると、そうでもない。

製材所までは片道30分。

往復1時間。

そこにガソリン代がかかります。

積み込みは製材所の方がやってくれます。

ところが、家に帰ってからが問題です。

今度は、この山のような木を自分たちで下ろさなければならない。

しかも、一人ではどうにもなりません。

何人もの人手が必要になります。

そう考えると、

「2,000円安くするために、時間とガソリンを使って、人手までかけるのか?」

という話になってきます。

そして最終的には、

「……2,000円払って、持ってきてもらおう」

となります(笑)。

商売というのは、単純な足し算引き算ではありません。

一冬で、これを6束

この「バラマキ」を、私のところでは一冬でだいたい6束ほど使います。

しかも、実際に使う時期より一カ月ほど早めに持ってきてもらいます。

理由は簡単。

乾かしておきたいからです。

焚物は、乾いているほうがよく燃えます。

竹の油抜きをするために、今度は木を乾かしておく。

竹を加工するために、木を燃やす。

竹細工をしているはずなのに、いつの間にか木材の調達までやっている。

なかなか奥が深い仕事です(笑)。

竹は、春から始まっている

こうして考えてみると、竹細工という仕事は、作品を作っている時間だけが仕事ではありません。

春には竹林の整備に入ります。

竹林を手入れして、どの竹を残し、どの竹を伐るのかを考える。

そして秋になれば、いよいよ切り出し。

切った竹を運び、油抜きをする。

その後、しっかり干し上げる。

そして、ようやく「材料」として使えるようになる。

一つの作品が完成するまでには、ずいぶん長い時間がかかっています。

外から見ると、

「竹を編んで作品を作っている」

ように見えるかもしれません。

でも実際には、そのずっと前から仕事は始まっているのです。

やっぱり、自分で選んだ竹は嬉しい

もちろん、竹を切って、運んで、油抜きをして、干して……。

手間もかかります。

時間もかかります。

焚物まで必要です。

正直、楽な仕事ではありません(笑)。

それでも、この時期になると竹を切り出したくなる。

なぜかと言えば、自分の目で選んだ竹を、自分で製竹して、作品にできるからです。

竹林の中で一本の竹を選ぶ。

それを切り出す。

油抜きをして、干し上げる。

そして、何カ月も何年も先の作品の材料になっていく。

そう考えると、一本の竹にも、なかなか長い物語があります。

暑い夏が終わって、涼しくなってきたら、竹の仕事はまた忙しくなります。

今年もそろそろ、竹林へ出動です。

さて、今年はどんな竹に出会えるでしょうか。

そして、どれだけの「バラマキ」を燃やすことになるでしょうか。

竹を切る前に、薪の心配をする。

これもまた、竹細工職人の秋の風物詩です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました