後継者育成事業 2026-5  四日目

後継者育成事業

― 「力竹」一本に一時間!? ―

後継者育成事業、四日目です。

前日は、底編みをして、電気コテで竹ヒゴに熱を加えながら、篭を立ち上げるところまで進みました。

今日は、その続き。

ある程度の高さまで編み上がったところで、底面に「力竹(ちからだけ)」を取り付けます。

名前からして、もう強そうです。

力竹。

まさに、その名の通り、篭に力を与える竹です。


ただの「太い竹」ではありません

見た目だけを見ると、

「底にちょっと太めの竹が差してあるだけじゃないの?」

と思われるかもしれません。

ところが、これがなかなか一筋縄ではいきません。

底の部分は、薄い竹ヒゴだけで編まれています。

そのままでは強度が足りませんので、そこに力竹を差し込んで、底をしっかり支えてやります。

まさに縁の下の力持ち。

いや、今回は本当に「底の下」ではありませんが(笑)。

そして、国産の竹篭の場合、この力竹に作者の銘を彫り入れていることがあります。

ですから、もし竹バッグや竹篭を購入する機会がありましたら、ぜひ底面をひっくり返して見てください。

力竹に彫られた名前を見れば、

「誰が作ったものなのか」

が分かります。

これは、私の作品の「力竹」です。見てみると雅人の「雅」と、銘が居れてあります。

竹細工を見る時には、表だけでなく、ぜひ裏側も見てください。

職人の名前が、ひっそりと隠れているかもしれません。


先生なら5分、生徒なら1時間

さて、この力竹。

私が取り付ける場合は、竹の具合を見ながら削り、差し込みながら調整していきます。

3本取り付けても、だいたい5分くらい。

ところが……

生徒たちがやると、

1時間以上。

……。

「なぜ?」

と思われるでしょう。

私も、たまに思います(笑)。

もちろん、私が長年やっているからです。

力竹は簡単そうに見えて、実は「ちょうどいい」が非常に難しい。

少し短いと、使っているうちに力竹が外れてきます。

かといって、少し長いと、無理やり差し込むことになるので、周りの竹ヒゴに負担がかかり、ヒゴを傷めてしまいます。

つまり、

短すぎてもダメ。
長すぎてもダメ。
ちょうどいい長さが必要。

……人生と同じですな(笑)。


「ちょうどいい」は、教科書には書いてない

生徒たちは、竹を削っては差し込み、

「もう少しかな?」

また削って、

「まだ入らない……」

さらに削って、

「今度こそ!」

と、四苦八苦。

そして、ようやく差し終わったものを私のところへ持ってきます。

そこで検品。

ところが、最初の頃は……

「はい、外れますね」

というものが、かなりあります(笑)。

見た目にはちゃんと入っている。

でも、実際に使ってみると外れてしまう。

あるいは、無理に差し込んだために、周りのヒゴに負担がかかっている。

このあたりは、実際に何度もやってみないと分かりません。


練習篭、大活躍

ここでも活躍するのが、先日から作っている練習用の篭です。

失敗しても大丈夫。

外れても大丈夫。

削り過ぎても大丈夫。

本番のバッグで失敗したら大変ですが、練習篭なら、

「はい、もう一回やってみましょう」

で済みます。

こうやって、練習篭が生徒たちの失敗を一身に受け止めてくれています。

いやぁ、練習篭って、本当に偉い(笑)。


そして宿題です

みんな何とか苦労しながら「力竹」を取り付けました。

これで一安心……と言いたいところですが、まだまだ先があります。

次の講習では、いよいよ「縁」の取り付けに入ります。

それまでに、決められた高さまで編み上げてくるのが今回の宿題。

さて……

ちゃんと綺麗に編み上がってくるでしょうか?

宿題をちゃんとやってくる生徒たちなのか。

それとも、

「先生、ちょっと間に合いませんでした……」

と、竹ヒゴを抱えてやって来るのか(笑)。

こちらとしても、楽しみなところです。

次回、どんな状態で持ってくるのか。

お楽しみに!

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