「良い竹が手に入らないならどうするか?」……はい、廃業。
……とは、さすがにいきません(笑)
結局のところ、「ないなら自分でやるしかない」という、実にシンプルで力強い結論にたどり着きました。というわけで、竹の切り出しから製竹まで、自前でやることにしています。
とはいえ、うちは竹屋さんではありません。販売用ではなく、あくまで“自分たちが使う分だけ”を確保するスタイル。いわば「自給自足型・竹細工」です。
まずは春。
この時期にやることは――竹林の“片付け”。
長年放置された竹林というのは、なかなかのカオス状態です。倒れた竹、折れた竹、絡み合う竹。「ジャングルですか?」と言いたくなるレベル。これでは竹を切っても外に出せません。

なので、最初の仕事は地味に「掃除」。枯れて倒れた竹を短く切って、運び出せる“通路”を作るところからスタートです。これが意外と体力勝負。
ところで、竹の成長スピード、知っていますか?
これがまた、とんでもない。
春にタケノコとして顔を出したと思ったら、夏には10メートル超え。しかも太さまでその年でほぼ決まるという、超スピード成長。木のように「じわじわ育つ」タイプではなく、「一気に勝負を決める」タイプです。
ちょっと見習いたいくらいです。
さて、いよいよ竹藪に入るわけですが、ここで大事なルール。
必ず二人以上で入ること。できれば三人。
理由はシンプル。「何が起きるかわからない」からです。
九州なので熊は出ませんが、イノシシ、鹿、蛇、蜂……住人はなかなか個性的です。それに加えて、チェンソーという頼もしくも危険な相棒もいます。
機械は便利ですが、ひとたび事故が起これば大けがに直結。山の中で一人きり、なんて状況は絶対に避けなければいけません。
安心院町内には、いくつか伐採させてもらっている竹林があります。11月、少し涼しくなった頃を見計らって、いよいよ本番の伐採です。
……が、涼しいはずなのに、作業中は汗だく。
なぜなら、切ったばかりの竹は水分をたっぷり含んでいて、とにかく重い。太いものになると、なんと50キロ以上。それを担いで運ぶわけです。
しかも「よいしょ、よいしょ」ではなく、一気に運ぶ。
……いや、若い人ならまだしも、70歳を過ぎた身にはなかなかハードです(笑)

11月中に、翌年使う分の竹をまとめて伐採し、必要な分だけを引き出してトラックへ。工房へ持ち帰ります。
「じゃあ一気に全部運べばいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、そうもいきません。
製竹する窯の大きさにも限界がありますし、干す場所にも限りがあります。結局、少しずつ、何度も往復することになるのです。
こうして考えると、一本の竹が工房にたどり着くまでには、なかなかのドラマがあります。
さて、次はこの竹がどうやって“使える材料”に変わっていくのか。
まだまだ竹との付き合いは続きます。


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