安心院町にある、とある喫茶店。
ここの名物のひとつが、昔ながらのスパゲッティーナポリタンです。
熱々に焼かれた鉄板の上には、ケチャップで炒めたスパゲッティー。そこに玉ねぎ、マッシュルーム、そして赤いウィンナーがゴロゴロと入っています。
そして最後の仕上げに、鉄板の周りへ溶き卵をぐるっと流し込む。
ジュワ〜ッ!
これで、鉄板ナポリタンの出来上がりです。
……と、ここで私は思わず「懐かしい!」となりました。
なぜなら、これは私が育った名古屋地方では、まさに定番のスパゲッティーだからです。

名古屋の喫茶店へ行くと、熱々の鉄板に乗ったケチャップ味のスパゲッティーが、ジュージューと音を立てながら運ばれてきます。
そこへ粉チーズをパラパラ。
さらにタバスコを少々。
そして、熱いうちにフォークでクルクル巻いて、ガブッ!
これが、たまらないんです。
名古屋の「鉄板ナポリタン」は、熱々に熱した鉄板にケチャップ味のスパゲッティーを乗せ、その周りに生卵を流し込む、いわゆる名古屋飯。
何といっても、この鉄板がポイントです。
鉄板の熱で卵が、最初はトロトロの半熟状態。
それが食べているうちに、だんだん薄焼き卵のように変わっていきます。
麺の下に隠れた卵が鉄板で香ばしく焼けてくるのも、これまた美味しい。
最後のほうになると、スパゲッティーだけではなく、卵まで楽しめるという、一皿で二度おいしい料理なのです。
具材は、玉ねぎ、ピーマン、ウィンナーなどが定番。
そして、ウィンナーはやっぱり赤いウィンナー。
ここは譲れません。
普通のウィンナーでもいいじゃないか、と言われそうですが、いやいや、鉄板ナポリタンには赤いウィンナーなんです。
赤いウィンナーを見ると、それだけで昭和の喫茶店の風景が頭に浮かんできます。
食べ方も、ちょっとした作法があります。
料理が運ばれてきたら、まず鉄板の上で卵と麺を軽く混ぜます。
そしてフォークで麺をクルクルッと巻いて……いただきます!
熱々の麺に、ケチャップの甘酸っぱさ。
そこへ卵のまろやかさと、鉄板で焼けた香ばしさ。
もう、フォークが止まりません。
安心院の喫茶店でこのナポリタンを見たとき、私は一気に名古屋の喫茶店へタイムスリップしたような気分になりました。
場所は安心院。
でも、鉄板の上には、しっかり名古屋の味。
いやぁ、ナポリタンって、なかなかいい仕事をしますね。

